Research Themes
現実世界のあらゆる情報をデジタル空間上に構築し、モニタリングやシミュレーションを可能とするデジタルツインが次世代に向けて注目されています。デジタルツインの構築において、あらゆる事象の観測・解析が重要となる一方、スマートフォンをはじめとしたセンサ類の通信負荷やデータ処理に要する演算コストといった多くの問題が生じます。"あちこちに分散する膨大なデータをいかに収集・活用するか"という問いに関し、無線ネットワーク、センシング、機械学習等の観点から取り組んでいます。
学術的には特に、ガウス過程を駆使した環境情報の推定や無線システム最適化に興味があります (例: 空間内挿, 適応的実験計画法)。
キーワード: 無線ネットワーク, Beyond 5G/6G, センシング, 時空間統計, (分散) 機械学習, ガウス過程, ...
以下に、現在の研究テーマ例を記します。
位置情報に頼らない時空間データ解析基盤の設計
Localization-Free Spatio-Temporal Data Analysis Infrastructure気象や人流といった事象の観測情報をスマートフォンやセンサからクラウドに収集し、時空間で解析する方式の活用が期待されています。事象の解析において大前提となる端末位置の取得により、コストや適用可能なアプリの制限など多くの問題が生じます。そこで、観測対象の端末間での相関構造などに着目した、端末側での測位に依存しない時空間データ予測手法の設計に取り組んでいます。
K. Kanzaki and K. Sato, IEEE Sens. Lett., 2024. IEEE Xplore
無線ネットワークでの分散機械学習のための通信/学習設計
Communication/Training Design for Distributed Machine Learning over Wireless Networks多くの深層学習がサーバへの膨大な学習データの集約を前提とする一方、個人所有の端末の計算能力も上がってきました。そこで、近隣の端末が協調し、ローカルネットワーク上で高精度なデータ解析を実施する連合機械学習をはじめとした分散型学習に関する研究を行っています。データを効率よく地産地消できる他、端末からのデータ開示の回避によるプライバシ向上も期待されています。
Y. Tomimasu and K. Sato, IEEE VTC2023-Fall, HK, Oct. 2023. IEEE Xplore
K. Sato and D. Sugimura, IEEE Trans. Cogn. Commun. Netw., Dec. 2021. IEEE Xplore
無線通信品質の可視化と無線システム設計への応用
Visualization of Wireless Quality and Its Application to Wireless System Design膨大な分散データを効率的に収集・処理するためには、5GやWi-Fiといった無線システムの超高効率利用が必須です。通信品質の実測値をクラウドに集約し、その特性を可視化・活用する手法の研究を行っています。GISで知られる空間統計に基づく内挿設計の他、イメージセンサを活用した屋内電波伝搬シミュレーション[Access-2023]や分散学習を活用した低遅延マップ生成[GCW-2022]など、広い観点から取り組んでいます。
K. Sato and K. Suto, IEEE Netw. Lett., 2024. IEEE Xplore
K. Sato et al., IEEE Trans. Veh. Technol., vol.70, no.1, pp.714-725, Jan. 2021. IEEE Xplore
電波マップ (Radio Map)に興味をお持ちの方へ
6Gに向け、お問い合わせを頂く機会が増えました。
佐藤が筆頭 or 責任著者になっている成果を簡単に整理します。
※手法の一般性を持たせるため、"radio map"等の用語の明記を避けた文献もあります
※論文は全てオープンアクセス or arXiv公開済みです
電波マップを作る
車車間通信等への拡張と実証 [IEEE Access, 2019]
空間内挿の周波数軸拡張とセルラでの実証 [IEEE Trans. Veh. Technol, 2021]
分散ガウス過程回帰と空中計算による高速・低遅延化 [IEEE GLOBECOM Workshops, 2022] [arXiv] [関連スライド]
RGB-Dセンサを用いた屋内三次元再構成によるレイトレーシング [IEEE Access, 2023] [関連スライド]
測位に頼らない相対座標上での空間回帰分析 [IEEE Sens. Lett., 2024]
環境モニタリング全般を対象にした話です
電波マップを使う
周波数共用のためのマップの誤差を考慮した確率的干渉制御 [IEEE Trans. Cogn. Commun. Netw, 2017] [簡易デモ] [関連スライド]
電波マップに基づく周波数共用における通信路容量の理論解析 [IEEE Wireless Commun. Lett., 2019]
適応的実験計画法による基地局の配置と送信電力の事前設計 [IEEE Netw. Lett., 2024] [関連スライド]
解説等
※迷ったら上から順にお使いください
空間内挿のPythonでの実装例 [GitHub]
デモ用のため、精度は多少割り切っています (特にバリオグラムのモデリング)
空間統計と電波マップに関するブックマーク集 [人工知能: 私のブックマーク, 2024]
実験データの取り扱いに役立ったツール等、論文にしづらい箇所もまとめました
ガウス過程回帰に関するチュートリアル@信号処理シンポジウム, 2023 [発表スライド]
COMPETITIVE RESEARCH Funds
助成いただいた各機関に感謝します。また、共同提案等のお誘いもお待ちしております。
関連HP: [KAKEN] / [日本の研究.com (※)]
※自動生成のため、記載内容は目安程度に御覧ください。
Ongoing (PI)
JST さきがけ "社会変革に向けたICT基盤強化"領域
題目: "位置情報に頼らない時空間データ解析基盤の創出"
期間: October 2023-March 2027 領域HP
JSPS 科研費 若手研究
題目: "高速・高精度な無線端末間分散機械学習を実現する通信設計"
期間: April 2022-March 2025
東北大学電気通信研究所共同プロジェクト研究
題目: "デジタルツイン社会に向けた境界のない無線ネットワークの設計"
期間: April 2023-
Ongoing (Co-PI, CO-INVESTIGATOR)
JST 情報通信科学・イノベーション基盤創出 (CRONOS)
題目: "古典的無線設計から脱却した極限的性能を実現する無線通信システムの開発"
期間: October 2024-March 2030
代表: 電通大 石橋功至 先生
JST 先端国際共同研究推進事業「次世代のためのASPIRE」
題目: "通信・センシング・学習の融合によるレジリエントサイバー空間生成基盤"
期間: February 2024-March 2027
代表: 電通大 須藤克弥 先生
JSPS 科研費 挑戦的研究 (開拓)
代表: "DAGRASデータセット: グラフ上データ解析のための高精度データセット構築"
期間: July 2023-March 2026
代表: 大阪大 田中雄一 先生
JSPS 科研費 基盤研究 (B)
題目: "グリーン信号情報処理: 持続可能社会を支えるためのデータ解析技術"
期間: April 2023-March 2026
代表: 大阪大 田中雄一 先生
JSPS 科研費 基盤研究 (B)
題目: "知的反射板を活用した情報・電力同時伝送システム"
期間: April 2022-March 2027
代表: 電通大 須藤克弥 先生
JSPS 科研費 基盤研究 (A)
題目: "深層学習を用いた能動的な新しい食事管理技術の創出"
期間: April 2022-March 2026
代表: 電通大 柳井啓司 先生
Finished (PI)
JST ACT-X "AI活用で挑む学問の革新と創成"領域
題目: "動画像クラウドセンシングによる無線資源の開拓"
期間: October 2021-March 2024 領域HP
一般社団法人共創, 科学研究支援助成金
題目: "ブロックチェーンを用いた連合機械学習の適応設計に関する研究"
期間: April 2023-March 2024
JSPS 科研費 若手研究
期間: April 2019-March 2022
電気通信普及財団研究調査助成
期間: April 2019-March 2020
JSPS 科研費 特別研究員奨励費
期間: April 2017-March 2018
Finished (Co-Investigator)
JST SICORP EIG CONCERT-Japan
題目: "将来社会を支える次世代IoTのための有機的レジリエント・セキュア無線ネットワーク (ORACLE)"
期間: April 2021-March 2024
日本側PI: 電通大 石橋功至 先生
EU側PI: Constructer University, Prof. Giuseppe Abreu